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社会・文化

新宿「歌舞伎町」夜の裏事情

コロナにまみれる「欲望とカネ」

2020年8月号

 極彩色のネオンが酔客を吸い込んでいく。キャバクラ、ホストクラブ、ラブホテル、裏カジノ、アダルトショップ……。あらゆる欲望を、わずか数百メートル四方のエリアに詰め込んだ眠らない街、新宿・歌舞伎町。新型コロナウイルス感染拡大の影響で客足は減ったものの、緊急事態宣言の解除を前に営業再開に踏み切る店が相次ぎ、キャッチ(客引き)やスカウトが路上に立ち続けた。
 新型コロナの感染者が二百人を超えた七月中旬も、変わらぬ風景が広がっていた。複数の暴力団事務所や若衆部屋が入る歌舞伎町二丁目のマンションの前では、屈強な男たちが肩で風を切って歩いていた。短パンや半袖シャツからのぞく和柄の入れ墨。一見して、カタギでないことがうかがえる。ホストクラブが入るビルの下では、スカートから下着をあらわに、酔いつぶれている女性の姿もあった。
 換気の悪い空間での接客に、飛沫をまき散らすシャンパン・コールやカラオケ。「七夕イベント」と銘打ち、浴衣姿で女性を集めるホストたち。
「男たちは給付金の十万円を握りしめて風俗へ行き、風俗嬢は体を売って作った金を『推しのホスト・・・