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連載

西風 471

北摂を変える五十年越しの「新路線」

2020年8月号

 五十五年ぶりに開催される予定の大阪万博は会場アクセスなどを巡って不確定要素が山積している。
 前回、一九七〇年の万博でも同様の問題はあった。この時の会場は、「北摂」と呼ばれる大阪府北部、吹田市に置かれた。大阪市中心部からはアクセスしづらく、これを解消するために市営地下鉄「御堂筋線」を延伸する計画が持ち上がったものの、一筋縄ではいかなかった。市営地下鉄であるため、吹田市や豊中市といった市外へと営業エリアを延ばすことに大阪市交通局側が難色を示したのだ。そこで、国が仲裁に乗り出し、最終的に阪急の関連会社として「北大阪急行電鉄」を設立して、御堂筋線の江坂から先へと直通運転する計画が採用。路線は、江坂から千里中央を結ぶ「南北線」と千里中央から会場までを結ぶ「東西線」。後者は万博終了後に廃止されたが、前者は巨大住宅地である千里ニュータウンがあり、北摂エリアのベッドタウンと大阪市中心部を結ぶ大動脈として機能し続けている。
 開業から五十年が経過した今年、同路線を延ばして箕面市に新たに二つの駅が開業する予定になっていたが、用地買収などの遅れから二〇二三年度に延期されている。{br・・・