十三年前に突然政権を放り出した時と同じく、またしても安倍晋三首相の体調が悪い、明日にも辞めるんじゃないかという雲行きなのに、「次はオレ（ワタクシでもいいが）がやる」と誰も前に出てくる気配がないのは、政治のあり方として不健康極まりない。
　そうでなくとも安倍首相は長すぎた。コロナ対策は何をしているのかさっぱり分からない。経済も外交も長期政権の実績はほとんどが藻くずと消え、この先の目標もない。居座るだけ時間の空費どころか、もはや有害ですらある。志ある政治家が「もうそこをどきたまえ。これ以上の国政空白は許されない」と迫るのが健全な政治というものだろう。
　本来なら、長く「ポスト安倍」候補と目されてきた石破茂元自民党幹事長と岸田文雄自民党政調会長が、今こそ「私ならこうする」と言い出してほしい。誰もがその気概と見識を待望しているが、体調不良につけ込むのは不謹慎という非難を恐れ「自粛」しているのか、辞めるのをじっと待つつもりか、言うべきことが何もないのか、恐らくその全部だろうが、二人は何もしない。不甲斐ない。
　病院検診から三日後の安倍首相に二十分間会った岸田氏は、・・・