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経済

みずほが抱えた「三つの地雷」

総額「二兆円超」の危ない融資

2020年9月号

「案の定、爆弾の導火線に火が付いたんじゃないか」。最近、メガバンク関係者が声を潜めて噂しあう案件がある。日立化成を一兆円近くかけて買収した昭和電工が「日立化成に関連する六千億円ともされるのれんの減損処理を迫られる可能性が高まってきた」(化学業界に詳しいアナリスト)というのだ。
 新型コロナウイルスという強烈な逆風もあり、ただでさえ昭和電工の二〇二〇年十二月期は最終赤字が九百億円と過去最大に膨らむ見通し。そこに日立化成の減損がきたらたまったものではないだろう。しかし、前出のメガバンク関係者らが囁きあう爆弾とは、じつは日立化成ではなく昭和電工のこと。そして、その爆弾を抱えているのは買収資金の大半を融資したみずほ銀行だというのだ。
「あの銀行にはリスク管理という言葉がないのか」(三菱UFJフィナンシャル・グループ関係者)。昨年末、昭和電工のメガディールを聞いたライバル行は耳を疑った。昭和電工が日立化成の買収に突き進めたのは、みずほ銀行が買収資金の融資を確約していたから。むしろ「みずほの方が一兆円までは出すからいけいけ、と昭和電工をけしかけていた」(外資系証券会社幹部)とい・・・