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連載

新大学評判記 第9話

コロナで「大量退学」の危機

2020年9月号

 新型コロナウイルス感染は第二波、第三波といったサイクル説を超え、社会に常在化しつつある。経済活動の停滞も長期化が必至となってきた。そのなかで、目立ちにくいが、大きな痛みを受けているのが大学生である。キャンパス封鎖、講義のオンライン化による学びや友人関係での喪失感だけではない。親の収入減、学生自身のアルバイト消滅など経済的苦境がより募っているからだ。学生が大学を見限り、退学する動機は急速に高まっており、キャンパス封鎖の続く大都市圏の私大にとって夏休み明けに〝時限爆弾〟が炸裂しかねない。
 七月末、全国の国公私立大学がオンライン一色に染まった前期を終えた。「太平洋戦争の学徒出陣か、七〇年安保闘争以来といえる異常かつ未体験の学期だった」と大学関係者は振り返る。もちろんコロナ感染が終息したわけではなく、九月下旬に始まる後期も対面型授業は限られ、八〇~九〇%はオンライン講義の見込み。それも状況によっては再び全面オンライン講義という但し書き付きだ。
「幼稚園でも登園できるのに、なぜ大学は登校を許さないのか」。都内の私立大学で教職課程をとる女子学生のひとりは「園児以下の扱い」に・・・

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