三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

社会・文化

検証「コロナ報道」

誤報と偏向で国民を惑わす大罪

2020年9月号

 新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、政府の対策が失敗に終わったことが明らかになった。その政府と「共犯」とも言えるのがメディアだ。社会の木鐸たる自らの責任を放棄して、政府の「広報誌」と化してしまったからだ。
 まず、コロナ報道では誤報が目立った。NHKは、五月上旬の感染拡大第一波の際、東京都の入院病床の使用率が逼迫していると繰り返し報じた。この時、厚生労働省は都道府県別の病床使用状況を公表しておらず、NHKは独自取材に基づき、病床使用率を公表していた。五月十二日に更新した情報では、東京都の病床使用率は一二六%と突出して高かった。二位は石川県の六一%だった。都民はもちろん、多くの医療関係者が不安に陥った。
 しかし、東京都が公表した情報によれば、五月十三日時点で、三千三百床の入院病床に対して、入院患者は一千三百二十人に過ぎなかった。病床占有率は四〇%で、余裕があったのだ。NHKは五月二十一日に更新した記事で「ベッド数に対する割合はすべての都道府県で五割を下回っています」と述べるだけで、訂正することはなかった。
 もっとも、この記事はケアレスミスの範囲と考・・・

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます