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連載

広告を裏読みする 第21話

「TikTok」新聞広告の思惑
本誌編集部

2020年9月号

 トランプと習近平の対立が、ニッポンの女子高生にまで影響を与えるとは誰も想像していなかっただろう。中国の北京字節跳動科技(バイトダンス社)が運営するアプリ「TikTok」を巡り、二大国がつばぜり合いを続ける様子は、軍事や経済という従来型の衝突とは違った印象を受ける。
 では渦中にあるTikTokの「広告戦略」とはどのようなものか。ここで言う「TikTokの広告」とは、バイトダンスの収益となる広告事業と、このアプリを告知するために他の媒体に出す広告の二種類がある。そして最近、後者に変化の兆しが見えるのは、米中対立の影響という見方が広がっている。
 TikTokは一般にショートビデオ共有アプリと呼ばれるもので、十五秒~一分という短い動画をネット上で共有することができるもの。
 日本国内でユーザー数が拡大したのは二〇一八年で、原動力となったのは「リップシンク」というジャンルの動画だ。これは簡単に言えば「口パク」で、有名な曲に合わせて歌っているふりをしながら踊るわずか十五秒の動画が女子高生を中心とする十代女子の間で爆発的に流行したのである。
「なんでそん・・・