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トランプに「大逆転」はあるか

白人票上積みで「仁義なき戦い」

2020年10月号

 十一月三日投票の米大統領選は、九月下旬の二つの重要な指標でなお、ドナルド・トランプ大統領が不利である。
 世論調査すべての平均は、民主党のジョー・バイデン候補が六ポイント上回り、大統領の支持率は四三%前後のままだ。過去の選挙戦では、得票率は投票日前の支持率とそれほど変わらないので、大統領は短期間で数ポイント、一気に支持率を上げなければならない。
 再選へのハードルは高いが、前回二〇一六年と同様に、得票数で大きく劣っても、なお獲得選挙人数で勝ち切る手段が残っている。一部の激戦州で、白人票を大きく上積みすることだ。トランプ陣営はラストスパートで、まさにこの方法に賭けている。
 全米五十州のうち、共和、民主両党の大統領候補が真剣に選挙戦を行うのは毎回、「接戦州」「戦場州」と呼ばれる、十二~十六州だけだ。今回も十六州が「戦場」扱いだが、大統領自身の動向から見て、アリゾナ、フロリダ、ミシガン、ノースカロライナ、ペンシルベニア、ウィスコンシンの六州が最大の注目だ。すべて前回は、共和党が勝利した。
 民主党議会関係者は、「トランプ陣営は、残りの州の動向につい・・・