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中東スンニ派「大分裂」が進行

盟主サウジが混迷の元凶

2020年10月号

 世界のイスラム教徒の八五%を占めるスンニ派が大分裂している。スンニ派を団結させた「反イスラエル」と「反イラン」の旗印が、アラブ首長国連邦(UAE)とバーレーンのイスラエルとの国交樹立で、全く通用しなくなった。スンニ派諸国は、宗派的団結より実利や地政学を優先させており、スンニ派の影響力は弱まるばかりだ。

パキスタンがサウジに三行半

 スンニ派分裂を象徴するのは、サウジアラビアの王家である。
 ここではスンニ派分裂どころか、父のサルマン国王と息子のムハンマド皇太子の父子が分裂している。イスラエルとパレスチナの問題だ。八十四歳の国王は、一九四八年のイスラエル建国から、いかにパレスチナのアラブ人が虐げられてきたかを見てきた。UAEのように、パレスチナを見捨てるなど、もってのほかである。
 三十五歳のムハンマド皇太子は、UAEの実質的指導者、ムハンマド・アブダビ皇太子を嫉妬の目で見ている。五十九歳の同皇太子とは何かと比較される。イスラエルとの国交樹立で、アブダビ皇太子は今や「新しいアラブ指導者」と・・・