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連載

をんな千一夜 第43話

長州閥の「源流」と添い遂げて
石井 妙子

2020年10月号

 《伊藤 梅子》
 
 体調の悪化はテレビ画面越しにも明らかだったとはいえ、七年以上も続いた長期政権の終焉としては、あまりにもあっけないものだった。アベノマスクに代表される失策が続き、非難され続ける中でストレスから持病を悪化させたと言われているが、総理としての意欲は昨年末ぐらいから薄らいでいたのではないか。
 モリカケ問題がくすぶり、昨冬には総理補佐官と厚労省女性幹部のスキャンダルが『週刊文春』に報じられ、「桜を見る会」の疑惑を国会で追及される。安倍政権は、完全に末期に入っているように感じられた。それならば政権が終焉してしまう前に、「安倍晋三」という世襲政治家が生み出された家庭環境と家系を、じっくりと考えてみたいと思い、私は『選択』二〇二〇年一月号の本欄で、まずは妻の安倍昭恵夫人を取り上げ、母の安倍洋子、曽祖母の佐藤茂世、祖母の岸良子、大叔母の佐藤寛子と順々に、この家系を遡っていった。安倍前総理が母方の「家」から強く影響を受けていると感じたからである。
 この家系の特徴は「女系」という点にあり、代々、男たちは婿養・・・