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社会・文化

菅義偉の宿願「テレビ局支配」

NHK・民放の「急所」握る狡猾

2020年10月号

 自民党総裁選投票前日の九月十三日、フジテレビの番組で、携帯電話料金の引き下げに関連し、菅義偉氏は(引き下げがなければ)「電波利用料の見直しはやらざるを得ない」と発言した。民放各社はこぞってこのニュースを取り上げ、菅氏の目玉政策の一つに格上げされた。この発言を聞いて、ついに来たかと受け止めた放送関係者は少なくない。電波利用料引き上げは携帯キャリアだけに収まらず、「放送局にも必ず波及するからだ」(民放キー局幹部)。
 キー局各社は公共の電波に対する電波利用料として、年間五億円超を支払ってきたが、昨年十月から引き上げられた。キー局は一気に五〇%も引き上げられ、年間約七億円に達する見通しだ。引き上げの背景には、安倍晋三前首相が、電波オークションの導入や政治的公平などを定めた放送法四条の撤廃などを目論んだのに対して、民放が反対し、潰されたことへの意趣返しとの見方が有力だ。「背後で菅氏が後押しした」(業界関係者)との見方もある。かつては数百億円単位で営業利益が上がった、放送ビジネスもネット広告に押され、急速に退潮している。「昨年引き上げたばかりで、現実には難しい」(総務省OB)というの・・・