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米国は菅政権に甘くない

中国包囲網で「傍観」は許されず

2020年10月号特別リポート

 高支持率でスタートを切った菅義偉首相に、安全保障の落とし穴が迫っている。十一月三日投票の米大統領選を前に、ドナルド・トランプ大統領とジョー・バイデン民主党候補のどちらが勝っても、長期的に米中の対立が続く様相が、強まっているからだ。
 米国の国務省・国防総省は、中国膨張を抑えるため、日米、インド、オーストラリア四カ国の「日米豪印戦略対話」(通称QUAD=クワッド)を、東西冷戦時代の北大西洋条約機構(NATO)のような対中安保連合に発展させる構えである。対中連合で日本は、NATOにおける英国のような、特別な役割を期待されている。
 菅政権にその準備は全くない。安倍晋三前首相は元々、戦略対話の呼びかけ人だったが、日本の戦略構想を作る前に舞台を降りた。米中のはざまで、双方から利を得るやり方は、限界を迎えている。

アジア版NATOから逃げる韓国

 韓国の鄭景斗氏は、二〇一八年九月に国防相に就任して以来、ワシントンが鬼門だった。
 最初は、在韓米軍の駐留経費負担問題だった。いったん合意した・・・