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連載

《世界のキーパーソン》ギャビン・ニューサム(米カリフォルニア州知事)

「環境」で名を売る将来の大統領候補

2020年10月号

 政治の話は、どこの国でも気が早い。米国では、十一月に大統領選がある。現職が負けたら何が起きるか分からないという、緊迫した状態だ。
 それでも、共和、民主両党では「二〇二四年」の動きが始まっている。ドナルド・トランプ再選なら、二四年はない(はずだ)。ジョー・バイデンの勝利でも、「一期で退任」の観測が根強い。
 全米最大のカリフォルニア州の知事となれば、いつの時代も有力候補扱いだが、ニューサムは十月に五十三歳になる、働き盛り。今年は新型コロナウイルスと空前の森林火災で、知事の出番が劇的に増えた。現地を訪れたトランプ大統領に、「大統領、これは地球温暖化の影響です。科学と向き合ってください」と迫った。
 さらに九月二十三日、「二〇三五年までに、州内でガソリン車の新車販売を禁止する」との知事令を出して、米国はもとより世界の注目を集めた。ライバルたちには、「ニューサムは環境で攻めてくる」とのメッセージを送った。
 もちろんその前に、森林火災と新型コロナの双方で実績を示さなければならない。カリフォルニア州には元々、「山火事シーズン」(通常は八月)という言葉が・・・