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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》 竹中平蔵

菅政権で栄える「学者政商」

2020年10月号

 衆院の早期解散をせかす政界圧力は日増しに強まる。菅義偉首相は表向き「新型コロナ対策最優先」「まず仕事をしたい」と慎重姿勢を崩さない。
 確かに安倍政治継承の是非を問うだけでは総選挙の理由として弱い。政権の看板として力を入れるデジタル庁創設は、迷走したコロナ対策の反省と縦割り行政打破・規制緩和の両方を含んだ象徴的な政策だ。国民の異論も少なく、圧倒的な支持は約束されたようなもの。年内に基本方針をまとめたら、来年中の発足を掲げ解散に打って出ることも十分にあり得る。命名は「デジタル庁解散」か。まるでこなれないが、不器用さがかえって「田舎出身が売りの菅さんらしい」と好感されないとも限らない。選挙に勝利して政権基盤を固められれば、デジタル庁は小泉純一郎政権の道路公団民営化や郵政民営化のミニチュア版くらいに化けるかもしれない。
 かくして自民党総裁選で菅氏が突然持ち出したデジタル庁は、安倍政治継承を「菅カラー」へ化粧直しするもっともらしい小道具、コロナ対策迷走への不満をそらす格好の言い訳、非常時をとらえて一気に政権を握った菅首相に自己都合な解散の名分、新手の政策キャンペーンに便・・・