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中東は新たな「三強時代」に

「非アラブ国家」主導の秩序再編

2020年11月号

 中東で、イスラエル、トルコ、イラン三国が、新たな「三強」として地域の国際秩序再編を進めている。いずれも非アラブ国家で、従来はアラブ=中東政治の枠外にいた存在だ。米国が急速に中東全域から米軍撤退を進め、アラブのイスラム教スンニ派諸国が混迷するなかで、三国の磁力が強まった。
 イスラエルは、アラブ首長国連邦(UAE)との国交正常化(アブラハム合意)後は、「米国の代理人」として存在感を増した。
 イランとトルコは互いの連携を強めるほか、中国やロシアの協力を取り付けて対抗する構えだ。アラブ国家抜きで始まった、中東の「新三国志」の力学を紹介しよう。

「米の利益代表みたいな位置に」

 アブラハム合意がいかに中東地図を変えるか。毎日のニュースが、インパクトの強さを示す。
 十月十九日早朝、UAEの「エティハド航空」のボーイング787「ドリームライナー」が、イスラエルのテルアビブ郊外ベングリオン国際空港に着陸した。エティハドは早速、「私たちは歴史を作った。湾岸諸国初の航空機だ。しかもこれは、ほ・・・