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インド大富豪が コロナでぼろ儲け

「1億人失業」国家危機を尻目に

2020年11月号

 インドの億万長者たちが、新型コロナウイルスによる世界経済の混乱のさなかに、総資産を三五%も増やした。携帯電話など、疫病感染で飛躍的に伸びた通信需要に加え、株式市場の乱高下で富を積み上げた。巨額損失を出した事業家も多いが、あの手この手で債務支払いを逃れるケースが圧倒的だ。

感染七百七十万人を商機に変える

 コロナぼろ儲けの筆頭は、インド一の大富豪ムケシュ・アンバニ氏である。十月発表のフォーブス誌の富豪リストでは、推定総資産は約八百九十億ドル(約九兆三千億円)。昨年比で七三%増だ。
 傘下の携帯電話会社「リライアンス・ジオ」の利用が大幅に伸びた上、親会社「リライアンス・インダストリーズ」の株価はコロナ禍襲来前よりざっと五〇%跳ね上がった。ジオはインド市場の三四%を占め、ユーザーは四億人を超える。今は円換算で五千円台の携帯電話を準備中で、さらに二億台出荷を狙っている。
 米ブルームバーグ誌の二〇二〇年世界富豪番付では、同氏は世界四位につけた。彼の上には、「アマゾン」「マイクロソフト」「フェイス・・・