三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

WORLD

ロシアと中国は深刻な「衝突」へ

シベリアと北極圏が「係争地」に

2020年11月号

 緊密な協力関係を誇示する中国とロシアの間で、冷戦時代のような対立再燃の懸念が広がっている。習近平国家主席の貪欲な拡張主義が、シベリアや北極海に及ぶためだ。ウラジーミル・プーチン大統領は中国の進出を経済的理由で容認しているが、国民の間では、中国企業による自然破壊や森林伐採、経済覇権に怒りが強まっている。
 シベリア、アマゾン、米カリフォルニア州と、山火事は今年も猛威を振るう。特にシベリアは、異常高温に見舞われたため、例年より一カ月も早く四月に始まった。
 欧州連合(EU)の地球観測プログラム「コペルニクス」によると、八月末までで北極圏(主にシベリア)の森林火災により、同地の昨年全体の二酸化炭素排出総量より、三五%も多くの二酸化炭素が排出されたという。地球温暖化防止のための、世界中の温室効果ガス削減努力を台なしにする事態である。

シベリア森林の「放火犯」

 ところが、ロシアのシベリア住民は、地球温暖化とは全く別の「放火犯」を知っている。
 それは中国の森林伐採業者だ。業者たちは、ワ・・・