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政治

「見かけ倒し」の 河野行革相

大改革の成就はとても無理

2020年11月号

 菅義偉官房長官(当時)は静かに激怒した。九月の自民党総裁選に、河野太郎防衛相(同)がぎりぎりまで立候補の構えを崩さなかったからだ。すでに党内各派閥の大勢が「安倍政治の継承」を掲げる菅氏支持へ雪崩を打っていたが、河野氏は今回、勝敗抜きで、何はともあれ党員投票を実施させることが、大衆人気を頼みに世代交代を進める次への布石になると計算し、あえて永田町の流れに波風を立てようとしたのだ。
 小泉進次郎環境相も同調した。安倍晋三前首相が辞意を表明した二日後、早くも八月三十日に小泉氏は出張先の福島市で「河野さんが出れば、河野さんを応援します。省庁の垣根、永田町のさまざまな難しい壁を越えなければできない改革も一緒に突破できる可能性を感じる」と明言した。菅氏は前夜、自民党の二階俊博幹事長や森山裕国対委員長と極秘に会い、出馬意欲を内々に伝えたばかり。同じ神奈川県選出で面倒を見てきた若手二人の飛び跳ね方に「お前たちは、誰のお陰でここまで来れたと思ってるんだ」と菅氏が実際口にしたのを聞いたという証言はどこにもないが、「きっと言いたい心境だったはずだ。たたき上げの俺が伸るか反るか一世一代の大勝負に出・・・