三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

社会・文化

日本「5G通信」の 夜明けは遠い

有望「日の丸技術」も宝の持ち腐れに

2020年11月号

 世の中はさながら「5G元年」のようだが、従来の4Gと比較して圧倒的に速い通信速度を持つ本物の5Gネットワークはまだ整備されていない。いまだ「擬似5G」とでもいうべき状態にあるにもかかわらず、これからネットワークを整備するキャリア各社は壁に直面しつつある。このままでは日本は、5G後進国になりかねない。
 日本時間の十月二十三日に、アップルの最新スマホ「iPhone12」が発売された。しかし日本で発売された端末は、より高速の通信が可能な「ミリ波」と呼ばれる周波数帯には対応しておらず、「サブ6」と呼ばれる電波しか使えないことで一部ファンを失望させた。映画一本分のデータを数秒でダウンロードできるといわれる5G通信。中でもミリ波による通信が本命だが、最大手のNTTドコモでミリ波通信を利用できるのは都内で十一カ所のスポットに過ぎない。しかもそれぞれのスポットがカバーするのは通常の無線LANなどと同等の数十メートルで、ネットワークと呼ぶのもおこがましい状況だ。アップルが、日本販売モデルに「ミリ波不要」と判断したのもむべなるかな、である。

現状は「なんちゃって5G」・・・