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WORLD

「自由主義」が死んだ世界

米欧アジアを「狂気」が覆う時代に

2020年11月号特別リポート

 米国のドナルド・トランプ大統領の四年間の治世により、世界の自由主義(リベラリズム)秩序が終焉に向かっている。
 政治面で見ると、民主主義各国で自由・民主主義に基礎を置く政治制度が揺らぎ、国際的な平和解決メカニズムへの不信が高まっている。すでに欧州では、民主的中道の右派・左派政党が交代で政権を担うという「リベラル・コンセンサス」が次々と崩壊している。
 国際経済でも、米国による世界貿易機関(WTO)軽視や一方的な経済制裁の乱発により、世界経済の自由主義体制が大揺れである。第二次世界大戦後の世界を主導した日米欧の自由主義は、中国共産党の一党独裁体制やロシアのウラジーミル・プーチン大統領のような、権威主義的独裁体制の台頭にさらされている。
 自由主義の「後」の形はまだ見えないが、新型コロナウイルスの世界的感染で、各国経済が大打撃を受けたこともあり、「一九三〇年代のような大混乱の再来」という悲観的な予想も出始めている。

米国で広がるアイデンティティ政治

 米国の民主主義が「大変」なのは・・・