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社会・文化

「令和皇室」の薄れゆく存在感

コロナ時代への「適応策」見つからず

2020年11月号

 さわやかな秋の青空の下、天皇皇后を乗せたオープンカーが沿道に集まった約十二万人の歓声を受けて進み、皇后は目に浮かんだ光るものを何度となく拭った―。昨年十一月十日、即位の一連の行事を締めくくったパレード、祝賀御列の儀から一年が経つ。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、天皇の動向が国民から見えなくなって半年以上。始まったばかりの「令和皇室」が壁に直面している。宮内庁関係者が語る。
「即位直後の一年は、地方への行幸啓にせよ、どこでも盛大な歓迎がされるはずだった。また初の外国訪問は、両陛下が留学されていた思い出の地であるイギリスの予定だったが、新型コロナのせいですべて吹き飛んだ」
 今年度は、国民体育大会や全国植樹祭など、いわゆる「四大行幸啓」がすべて中止になり、姿を見せることさえできなかった。唯一、八月十五日の戦没者追悼式だけは出席し、慰霊の言葉のほかに、新型コロナについても言及した。住まいの赤坂御所から会場である日本武道館まで車でわずか十分の距離。それでも当初は出席を控える案も浮上していたが、「両陛下の出席への強い希望があって、なんとか実現した」(前出宮内庁関係者)・・・