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社会・文化

「火山噴火予知」というファンタジー

噓つき学者とメディアが築く「虚構」

2015年7月号

 日本列島は最近、武者震いをしているかのようだ。四月下旬に、神奈川県箱根町では観光客が訪れる大涌谷周辺で通常とは異なるレベルの水蒸気が噴出。五月には、鹿児島県の口永良部島で火砕流を伴う噴火が発生し住民は避難を余儀なくされた。六月に入ってからも、長野県と群馬県にまたがる浅間山で六年ぶりの噴火を観測した。 「火山研究者は、かつての地震研究者と同じ道を歩もうとしているのか」  国立大学の地震研究者はこう語る。日本では研究者が「地震は予知できる」という大ボラを吹き、多額の予算を獲得してきた。これを今、火山学者が繰り返そうとしているのだが、果たして地震と比較して火山の予知は容易なのか。 「思わせぶり」な火山学者  箱根山の火山活動活発化について、新聞やテレビでは「小規模」「限定的」という気象庁の発表を垂れ流した。一方で、「大噴火が近い」「富士山も噴火する」という見出しが週刊誌に躍った。関東の国立大学で火山の観測に携わっている研究者が解説する。 「結論からいえば、どちらもデタラメ。『売らんかな』の週刊誌がセンセーショナルな記事を掲載するのは当たり前だが、・・・