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経済

NTT「再統合」で国民は大損

携帯料金「官製値下げ」に潜む謀略

2020年11月号

〈分かりやすく、納得感のある料金・サービスの実現〉―。
 ひどく抽象的な文言である。十月二十七日、総務省が策定したモバイル市場の競争促進に向けたアクションプランには、国民が望む尋常な政策目標が掲げられていた。しかし、そこに込められた意味は極めて個別具体的、しかも、強圧的なのだ。
 本誌が刊行された十一月一日には、携帯キャリア大手三社のうち、すでにKDDIとソフトバンクの料金値下げが発表されているだろう。対象となる料金は二〇ギガバイト以上の大容量プラン、値下げ幅は約三割、実施は来春早々……。こうした方向性は発表の前から分かっていた。なぜなら、総務相の武田良太が「大容量プランが焦点」「一割では改革にならない」「一日も早い値下げを!」と周囲に喧伝していたからだ。
 公益事業とはいえ、民間企業の大手三社に、総務相が値下げを要請する法的根拠はない。だから、総務省のアクションプランは抽象的な文言にとどまっており、あくまで行政当局の“期待”に民間企業が自主的に応えた形になっているのだ。が、水面下では値下げの水準や時期に・・・