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米共和党は「貧者」が支持層に

富裕層・高学歴「離反」の痛撃

2020年12月号

 米国の大統領選は、「富裕層は共和党」という、従来の米政治の定説に変更を迫っている。民主党のジョー・バイデン氏と共和党のドナルド・トランプ大統領の得票率は、「五一%対四七%」だったが、獲得した郡ごとの経済力で見ると、民主党が勝った郡のGDP(国内総生産)の合計は、米国全体の七〇%を占めることが分かった。
 米国の稼ぎ頭となったハイテク企業群が民主党地盤に集中しているためで、若年層、非白人層、大学教育を受けた層では、特に民主党が強かった。
「米国の新しいメインストリーム(主流)」と見る政治学者もいる。共和党は今後、「貧者の党」の色彩が、さらに強まりそうだ。

「米国の新主流」を掴んだ民主党

 バージニア州ラウドン郡は、米国以外ではあまり知られている地名ではない。首都ワシントンのダレス国際空港がある場所で、今年ようやく首都につながる地下鉄駅ができた。タクシーでワシントン中心部に向かうと、何の変哲もない風景が続く。
 ここは二〇〇八年以来、「全米一豊かな郡」の座を保っている。一世帯当たり・・・