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政治

菅政権に舞い散る「安倍桜」

解散とポスト菅を巡る「謀略戦」

2020年12月号

 首相菅義偉はよく言えば「ブレない信念の男」。しかし、見方を変えれば「頑固一徹」を絵に描いたような政治家と言っていい。その政治手法、姿勢は七年八カ月に及んだ官房長官時代の記者会見での対応が如実に示している。何を聞かれようが常套句を繰り返すのみ。
「全く問題はありません」「ご指摘のような事実はありません」
 大胆に断じれば、菅はこの二通りの表現で前首相安倍晋三が直面した森友学園や加計学園問題など数々の政権を揺るがしたスキャンダルを乗り切ってきた。その菅が新型コロナウイルスの急速な感染拡大で窮地に追い込まれている。表向きは「コロナ対策と経済再生の両立」を訴えるが、菅の言動から「経済最優先」の思いが明確に窺える。菅自身が直接乗り出した「Go To トラベル」がその象徴だろう。十一月中旬になって感染者が急激な増加傾向を示し始めた。事実上の「第三波」と言ってよかった。それでも菅は継続に強いこだわりを示す。
「Go Toが地方経済を下支えしていることは事実だ。暮らしが守れないと命も守れない」
 菅は周辺にキャンペーンの継続について方針不変の決意を伝えた。菅は・・・