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政治

絶頂・二階俊博が描く「菅再選」戦略

《政界スキャン》

2020年12月号

 いま鑑賞に値する政治家は二階俊博自民党幹事長(八一)である。「田中角栄越え」は在任期間更新だけではない。田中は首相退陣後、刑事被告人にして最大派閥「田中軍団」の「闇将軍」に君臨した無理が政界を狂わせた。分かりやすいけど単純だった。
 それに比べ二階氏は、複雑で賞味し尽くしがたい。党を公平に治めるべき現職幹事長なのに、二階派拡張のためなら他派閥に次々と抗争を仕掛けて傲然としている。政府の政策決定に党から横やりを挟む図々しさが、かえって官僚から頼もしがられる。菅義偉政権を作った「キングメーカー」であり、首相にあれこれ注文をつけながら容易に手筋を見せない。
「まだらボケ」(無礼な!)と陰口も飛ぶが、何が目的でどこまでゴリ押しするか融通無碍のまだら模様が二階政治の醍醐味なので、陰口も誉め言葉に反転する。
 最近、二階氏の「お騒がせ」は田舎芝居の臭みが堂に入ってきた。大がかりだったのは十月、山口県宇部市へ二階派議員総勢二十人で乗り込んだ騒ぎだ。派閥会長代行、河村建夫元官房長官(七八)=衆院山口三区=の次期衆院選総決起大会。伊吹文明元衆院議長、武田良太総務相、林幹雄・・・