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政治

自民党派閥「離合集散」の蠢動

「ポスト菅」政局の波乱要因に

2020年12月号

 堅牢に思えた地盤が液状化現象を起こすように、絶対的存在に見えた前総理大臣・安倍晋三の突然の退陣と、菅義偉が無派閥議員として初めて総理・総裁になったことで、自由民主党の派閥に流動化の兆しが見える。その行方は、来年の総裁選挙で菅が続投できるのかどうか、「ポスト菅」をめぐる政局の波乱要因になりそうだ。

意外と脆い最大派閥「清和研」

 結党から六十五年が過ぎた自民党は、当初の「八個師団」から五大派閥へと収斂し、分裂と合従連衡を繰り返した。安倍政権では七派閥と有隣会(谷垣グループ)を加えた七・五個師団が、非主流派は元幹事長の石破茂が率いた水月会(石破派)のみという、ほぼ総主流派の安定感を見せてきた。
 これに対し菅政権の誕生は、清和政策研究会(細田派)、志公会(麻生派)、志帥会(二階派)、平成研究会(竹下派)の四派閥が牽引し、菅を支える無派閥議員も存在感を示す中、水月会のみならず、宏池会(岸田派)も非主流に追いやり、師団のバランスを崩した。その結果、突き抜けた総裁候補を持たない各派の人材事情と、各派を弱体化・・・