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経済

三菱ケミカル「外国人社長抜擢」の狙い

事業の「整理・淘汰」を断行

2020年12月号

 総合化学国内最大手の三菱ケミカルホールディングスは新社長にベルギー出身で、フランス資本の化学会社のCEOであるジョンマーク・ギルソン氏を起用すると発表した。同社にとって社外と外国人、二重の初という異例のトップ人事。越智仁社長を退任させ、自らは会長にとどまる小林喜光会長の権力維持の色合いが強いが、収益の重荷になっている国内のエチレンセンターなど基礎化学品部門の整理・淘汰を、しがらみのない外国人社長に断行させようという狙いがあるだろう。「図体は大きいがエクセレントではない」(化学業界関係者)三菱ケミカルは外国人社長によって再生し、グローバル企業になれるのか、大きな賭けが始まった。
 十月二十三日、社長交代を発表した三菱ケミカルの記者会見は異様な空気に包まれた。正面ひな壇には越智社長と指名委員会委員長を務める橋本孝之・社外取締役(元日本IBM社長)が並び、二人の間にディスプレイが置かれ、次期社長のギルソン氏の顔が映し出されていたからだ。コロナ感染の中での外国人社長の起用という特殊事情によるものだが、人事そのものの異例ぶりを象徴していたことも確かだ。
 多弁な橋本氏が「ギ・・・

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