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社会・文化

国の「馬毛島買収」未だ終わらず

菅政権の知られざる「アキレス腱」

2020年12月号

 鹿児島県種子島の西方十キロ余りの所に、日本で二番目の広さを持つ無人島が浮かぶ。バブルの頃からさまざまな欲望と打算が交錯した馬毛島だ。約一年前、国による島の買収が決まり、日米間の「懸案」の解決にも見通しが立った。しかし、肝心の買収が未だ終わっておらず、これが首相、菅義偉のアキレス腱になりかねないことは、あまり知られていない。
 外交手腕が不安視される菅が、口癖のように繰り返す言葉がある。
「ケネディさんが民主党人脈を紹介すると言ってくれている」
 ケネディさんとは、二〇一三年から一七年まで駐日米大使を務めたキャロライン・ケネディのこと。元大統領、ジョン・F・ケネディを父に持ち、豊富な資金力も相まって現在も米民主党に影響力を持つケネディ・ファミリーの一員だ。大統領選で当選を確実にしたジョー・バイデンが来年一月に就任すれば、キャロラインに近い人物も多数政権入りするとみられる。キャロラインは日本にいた当時、菅と定期的に会談し信頼関係を醸成したといい、昨年五月に菅が訪米した際にはキャロラインがニューヨークの自宅に招き、新元号「令和」を発表した菅の写真をあしらったケ・・・