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連載

Book Reviewing Globe 440

暗澹たる米中「近未来シナリオ」

2021年1月号

 二〇二五年、フィリピン政府は中国に占拠されたスカボロー礁を奪還するため巡視艇を派遣した。新大統領は中国にタフなところを見せようとして、この挙に出たのだった。その動きを知った中国は急遽、スカボロー礁を基地にするため人工島構築の突貫工事に着手した。米大統領は、フィリピンのクラーク空軍基地にF-22を配備するよう指示した。フィリピン全土で配備反対デモが起きた。中国の情報機関が裏で仕掛けていた。マニラでの大規模抗議運動では、議会で弾劾訴追され辞任したドゥテルテ元大統領が先頭に立った。
 習近平中国国家主席は、空母「遼寧」をルソン島沖に派遣した。横須賀を母港とする米空母、ジェラルド・R・フォードを南シナ海に入らせないためである。ジェラルド・R・フォードはすでに沖縄南東に接近していた。「遼寧」からJ-31とJ-15が飛び立ったが、ジェラルド・R・フォード搭載のF-35と嘉手納基地から飛来したF-22によって撃ち落とされた。インド太平洋軍司令部は、ジェラルド・R・フォードに台湾南部のバシー海峡にとどまるようにと命令した。台湾の国民党政権の総統は、台湾は中立の立場を取るとの声明を出した。{・・・