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政治

「孤立の宰相」菅の余命

「コロナ敗走」政権は麻痺状態に

2021年1月号

 二〇二〇年の劈頭、首相菅義偉は九カ月後に自身が印綬を帯びるとは想像すらできなかったに違いない。そして一年を経て今度は自らの政権が崖っぷちに追い詰められた中で新年が巡ってきた。菅は新型コロナウイルスの感染防止で後手に回り、敗走を重ねる。
「年末年始に帰省される方には大変申し訳ない。事業者にもご迷惑をお掛けした」
 菅は十二月十九日午後、「日本アカデメイア」の講演で陳謝した。自身が先頭に立って旗を振り続けてきた「GoTo トラベル」が全国で一時停止に追い込まれたからだ。それは感染防止に関し政府が「勝負の三週間」として国民に呼びかけたキャンペーンの「敗北宣言」でもあった。
 経済再生担当相の西村康稔が「勝負の三週間」を口にして危機感を訴えたのは十一月二十五日だった。この日政府のコロナ対策分科会会長の尾身茂が強い警告を発した。
「人々の動きと接触を短期間に集中的に減らすことが必須だ」
 しかし菅は尾身の警告を無視するかのように、感染防止より経済再生に重きを置く姿勢を堅持した。
「GoToは地方経済を下支えしている。これを止めたら地方・・・