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政治

五輪と共に尽きる菅の「命運」

「九月六日退陣説」の信憑性

2021年1月号

「菅義偉首相での衆院解散・総選挙はない」
 こう断言するのは、立憲民主党や共産党の野党議員ではない。大臣や党の要職を経験した自民党のベテラン議員だ。しかも同じ思いを抱く与党議員は、一人や二人ではない。
 コロナに振り回された二〇二〇年が暮れ、新たな年を迎える首相官邸には、三カ月半前の菅政権発足時とは打って変わった緊張感が漂っている。
 節目となったのが、十二月十二日だ。
 毎日新聞が実施した世論調査で、内閣支持率が四〇%と急落したとの急報が官邸に伝えられたのである。内閣発足時から二〇ポイント以上もの下落に菅は動揺した。
 翌日は日曜だったが、夕刻に厚生労働相の田村憲久、官房長官の加藤勝信、経済再生担当相の西村康稔を首相官邸に呼び出し、厳しい表情で観光支援事業「Go To トラベル」の一時停止を言い渡した。突然の方針転換にもかかわらず、三人から意見らしい意見は出ず、会議はものの四十分ほどでお開きとなった。「トラベル」を主管する国土交通相の赤羽一嘉は、出張中で、会議後に電話で知らされた。
 十一日まで首相は、「Go To」継続に固・・・