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経済

「SDGs」に踊らされる日本企業

「美しい活動」に潜む虚妄と利権

2021年1月号

 国際連合が主導する「持続可能な開発」を目的とした「SDGs」が世界の企業社会に急激に広がっている。日本では二〇一九年を境に一気に広がり、大企業から中小企業まで取り組まざるを得ない空気が漂う。だが、内容は抽象的で企業として取り組めるものは少ない。「SDGsは企業の成長を加速する」と言われても、コロナ禍で売り上げが落ち込む企業には虚しく響くだけ。一方、SDGsはグローバルな投資判断の新たな要因となり、SDGs評価の低い企業は排除されかねない。国際標準化機構(ISO)と同様にルールをつくった欧米が利を得る虚妄のグローバル運動に堕している。

“開発経済屋”の良からぬ実験

 十七色が環状に配置された「カラーホイール」のSDGsバッジをスーツの胸元にこれ見よがしに付けた中高年が、東京や大阪のビジネス街を闊歩している。付けているのは概ね大企業の役員クラスのため、今や「俺は偉い」というステータス・シンボルになっている。
 十七色は「飢餓をゼロに」「質の高い教育を」「ジェンダー平等の実現」「・・・