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経済

経団連「病身・中西」は続投なのか

存在意義「喪失」で黄昏の財界

2021年1月号

「いっそのこと安倍(晋三首相)さんのように『辞めた』と言いたいが、そういう経済情勢でもない」
 リンパ腫の再発により二〇二〇年七月から入院していた経団連の中西宏明会長が一時外出した際の会見で漏らした言葉だ。政権を放り出した安倍前首相を引き合いに出した上で続投に意欲を示したのだが、「自分でなければ新型コロナ禍における財界運営はできない」という驕りにもとれる。しかし実際には、「中西氏が辞めた場合の代わりの人間がいない」(経団連副会長経験者)という切実な事情によるものであり、約半年にわたって事実上の「会長不在」が続く経団連の存在意義がこれまで以上に希薄化している。

三菱グループの「野心」

 十二月九日、経団連の事務方トップ、久保田政一事務総長が記者団にこんな本音を漏らした。
「(中西氏の)会長継続に批判的な記事や動きがないのでひとまず安心している」
 メディアが舐められているのはもちろんだが、経団連加盟社、副会長社や審議員会メンバーからも中西氏続投に異論が出ていないことを物語る。発言の・・・