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社会・文化

コロナ禍の「出口」へ向かう方法

ヘルガ・リュプザメン=シェフ(ドイツ国立科学アカデミー 微生物学・免疫学者)

2021年1月号

 ―新型コロナウイルスの一日の感染者がドイツで三万人を超えました。

 リュプザメン=シェフ(以下HRS) 
私たちは確かに第一波ではうまくいった。夏休みで海外に行った人たちが帰ってきて、だんだん数字が上がった。私自身は一日の感染者数が五千になったところで、「これは大変」「後手に回った」と思った。政府は今回、ロックダウン(都市封鎖)の再導入をためらった。そのうち気温がみるみる下がり、ウイルスに最適の環境になった。軽度の封鎖、外出規制で乗り切ろうとしたが、感染を抑えきれなかった。

 ―政府のためらいが原因ですか。

 HRS 政治家だけを責めることはできない。本当は、厳格なロックダウンなど誰もしたくないのだ。経済的影響はもちろんだが、学校や幼稚園に行けないことで、子供たちには計り知れない心理的影響を与える。もちろん家族全体への負担は大きい。感染拡大の危機が長引くにつれて、国民はどうしても疲れてくる。
 今回の場合、国民は警告を深刻・・・

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