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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》新型コロナ対策本部

政府「迷走」の諸悪の根源

2021年1月号

 欧米と比べて感染者数も死者数も段違いに少ないのに、日本はなぜ医療崩壊の瀬戸際に立たされているのか。なぜアジア諸国に比べて、経済状況の悪化が激しいのか。日本の新型コロナウイルス(以下、コロナ)対策は、大きな欠陥を抱えているのではないか。
 多くの国民が感じている疑問であろう。新たなウイルスは、世界と各国に、医療や経済など広範で複雑かつ未知の状況への対策を強いることになった。日本の宿弊である省庁の縦割りや、国と地方のズレや差異に、ウイルスはつけこんでくる。日本全体が縦も横も有機的につながり作用する対策が必要だ。そのために設置されたのが、政府のコロナ対策の要である、新型コロナウイルス感染症対策本部(以下、対策本部)だ。
 政府は二〇二〇年十二月十四日、対策本部の会合で、「GoToトラベル」を十二月二十八日から今年一月十一日まで、全国一斉に停止することを決めた。人の移動に伴うコロナ感染者の急激な拡大を食い止めるためだ。一方、停止措置により旅行のキャンセルが相次ぎ、年末年始の需要期に期待をかけていた観光業界からは、落胆の声も聞こえる。GoToトラベルをはじめとしたコロナ対策・・・