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米軍で増殖する「テロ崇拝者」

「バイデン暗殺」の深い懸念

2021年2月号

「尊敬する人は、アドルフ・ヒトラーとウサマ・ビン・ラーディンだ」―。こんなことを言う兵士が米軍内に増えている。
 ユダヤ人大虐殺を命じた独裁者と、米国を襲った国際テロ組織「アルカーイダ」創設者は、ともに極端な暴力の象徴として崇拝の的だ。今年一月六日には、米国の連邦議会議事堂がドナルド・トランプ前大統領の支持者に襲撃される事件が起きたが、米軍では事件前から軍内の危険人物について、内部調査が進められていた。
 議事堂襲撃事件の後には、米軍や連邦捜査局(FBI)があわてて、「内部(インサイダー)の脅威」はないかと大規模捜査に乗り出した。だが、もはや「極右」という言葉では表現しきれない、カルト集団や人種差別主義者がはびこっているのが、米軍の実情なのだ。

アルカーイダに憧れる米軍人

 米軍内で「ヒトラーとビン・ラーディンの崇拝者」が逮捕されたのは、昨年六月のことだった。ケンタッキー州出身の二十二歳、イーサン・メルザー被告は、陸軍二等兵だった。入手できる限りの軍事機密を、自分も加わるカルト集団「九角騎・・・