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政治

官邸内で「菅降ろし」は起きるか

《政界スキャン》

2021年2月号

 暗示的な光景だった。通常国会開会三日前の一月十五日。概要の固まった施政方針演説について、菅義偉首相自ら新聞・通信・民放各社の論説・解説委員たちに事前説明する懇談会が首相官邸で開かれた。会議室には菅首相がまず入室し、遅れた政府高官たちをぽつねんと待った。安倍晋三前政権では、ついぞ見られなかったことだ。
 菅氏は国民感情とかけ離れ、自民党内で浮いているだけでなく、今や官邸内でも孤立している。しかも、側近たちがそうした内情を隠そうともしない。
 政界では着席の順番や出迎え方に真実が宿る。第一次安倍内閣は、閣議前に閣僚たちがおしゃべりに夢中で、首相が入室しても気にも留めない様子が毎回テレビに映し出され、「まるで学級崩壊」と揶揄された。当時の中川秀直自民党幹事長が「たるんでる。私語を慎み、全員起立で総理を出迎えるべきだ」と苦言を呈し、それがまた「学校の先生みたい」と笑われた。結局政権は一年で倒れたから、笑い話では済まない。それが政権の本質だったのだ。
 菅政権の場合、当初から予兆があった。毎週月曜日夕方開かれる自民党役員会。昨年秋、二階俊博幹事長が一番最後に入室し・・・