三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

政治

菅政権「春退陣」の現実味

予算成立「花道説」は根強く

2021年2月号

 一月二十二日の昼下がり、参議院本会議場に緊張が走った。
 代表質問で共産党の小池晃に対する答弁に立った菅義偉が立て続けに咳きこんだのだ。なんとか答弁を終えた菅だったが、顔色は悪く、与党議員たちは互いに顔を見合わせた。「いつまで持つんだ」と。前日に発売された週刊文春が「咳が止まらない」と報じていたことも噂に輪をかけ、菅の健康不安説が一気に現実味を帯びた。
 宰相は孤独だ。
 洋の東西を問わず、ライバルたちを蹴落として最高権力者の座にたどりついた者の周りからは、それまで気軽に冗談を言い合い、時に忠告もしてくれていた友人や知人が一人去り、二人去りし、耳に心地よい情報しか伝えない「お伽衆」だけが残る。
 就任から三カ月も経てば、どんなに鈍感な人物でも世間の評判が芳しくないのに気付く。「どす黒いほどの孤独と猜疑心」(首相経験者)、加えてこれまでに経験したことのないストレスにさいなまれることになる。
 しかも日本の首相は、議会で論戦しなくてよい米大統領や韓国大統領、独裁国家である中国やロシアの首領と違って国会で常に野党からの攻撃にさらされる。{b・・・