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政治

「役立たず」のコロナ関連法改正

厚労省と与野党の「手抜き談合」

2021年2月号

 危機対応の要諦の一つは、人々の不安の最小化にある。感染拡大の規模と速度が爆発的に上昇した新型コロナウイルスの第三波に対し、一月十八日召集の通常国会で与野党が対立を棚上げし、早期に関連法案を成立させる方向で握っているのも、そのためだ。問題は、省益優先の官僚と、近づく選挙を意識して本質より見た目の実績作りに走る選挙至上主義の政治家が中身を歪めていることだ。
 今国会で審議される主な新型コロナ関連の法案は、新型インフルエンザ等対策特別措置法、感染症法、検疫法の各改正案だ。当初、与党の自由民主、公明両党は法改正を感染収束後に行うとしていたが、第三波の猛威と年内の総選挙への影響を懸念し、前倒しした。ただ、法案の内容には、「実効性は期待できない」(政府関係者)と冷ややかな視線も向けられる。
 二度目となった緊急事態宣言の根拠法である特措法の場合、改正のポイントは都道府県知事が事業者に休業や営業時間短縮などを「要請」し、応じなければ「命令」を発し、それでも従わないと罰則を科す一方、求めに従った事業者には財政的支援を行う点だ。
 いずれも感染拡大の第一波の際にも論点とな・・・