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政治

《罪深きはこの官僚》都築直史(電力広域的運営推進機関 事務局長)

「大停電危機」で晒した無能

2021年2月号

 よもやよもやの電力危機だ。新型コロナウイルスの感染拡大に世間が慄いていたこの冬、全国で電気が足りなくなる「電力危機」が起きていた。一月上旬には各地域の電力予備率見通しが軒並み一%ないし二%に達しており、大規模停電一歩手前の抜き差しならぬ情勢だったといえる。電力会社は首の皮一枚のところで踏ん張り、大停電は回避したものの、関係者の不満はくすぶる。「オクトは何をしていたんだ」。オクトとは、電力広域的運営推進機関の略称だ。
 オクトは電力需給を全国大で安定化させるため、二〇一五年四月に設立された。きっかけとなったのは東日本大震災後の計画停電で、「電力会社任せでは停電を防げない」との危機意識が、オクト創設へとつながった。オクトは経済産業省の認可法人であり、立場上、電力会社の上位に位置づけられている。
 事務局長を務めるのが、都築直史氏だ。同氏は一九九二年旧通商産業省入省。資源エネルギー庁、旧原子力安全・保安院、電力・ガス取引監視等委員会を渡り歩いたエネルギー官僚として知られ、二〇一九年七月にオクトへ出向してきた。オクトの理事長は東京大学公共政策大学院のトップなどを歴任した金・・・

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