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社会・文化

コロナ医療者「心の病」の深刻度

「カネで解決」政府支援策の酷薄

2021年2月号

 徐々に水に沈んでいるにもかかわらず、逃げ出すこともできなければ、SOSのサインを出すことも、悲鳴を上げることさえできずに窒息するのを待つ。新型コロナウイルスの日本上陸から一年が経過し、最前線ではそんな医療従事者が生じている。
 医療現場の逼迫については報道が溢れかえっている。患者受け入れを断る三次救急や、たらい回しにされる救急車、入院できないまま自宅で死亡する療養者など、文字通り医療崩壊の様相だ。
 医師や看護師、病院スタッフの限界は徐々に近づき、それをいかに解消するかということに、病院経営者は心を砕いている。その陰で、さらなる深刻な病魔が我が国の医療体制を蝕みつつあると、東京都内国立病院の精神科医が吐露する。
「特に看護師の心理的な負担が大きく、抑うつ状態になるスタッフが増加しつつある。体系的な調査は行われておらず、水面下で事態が悪化を続けている」

「燃え尽き症候群」が上昇

 医療現場側はこの間、現場の医師や看護師の精神状態についての危険性を訴えてきた。第一波の時点で、複数の・・・