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WORLD

コロナワクチンの「地政学」

各国総力戦で「力負け」の日本

2021年2月号

 新型コロナウイルスのワクチン接種をめぐって、世界中で二種類の熾烈な競争が起きている。
 一つは何とか他国に先駆けてワクチンを確保しようという、各国保健当局間の争いだ。もう一つは、どこに市場を広げようかという、ワクチン製造国間の争いである。どの国がどこからワクチンを入手するかは、今後の国際政治の合従連衡にもつながる、地政学上の決定的要因に浮上している。
 折から、ブラジル、英国、南アフリカなどで変異ウイルスが登場し、ワクチンをめぐる競争はさらに激化している。日本政府は目下、どちらの側の競争にも、力負け、スピード負けの様相である。メディアでは分からない、最新の「ワクチン地政学」を紹介しよう。

WHOと中国政府の鮮やかな連携

 ブラジル・サンパウロのグアルーリョス国際空港に昨年十二月三日、中国「シノバック・バイオテック」社開発の「コロナバック」ワクチン百万回分を載せた飛行機が着陸した。
 発注したのは、ブラジル政府ではない。サンパウロ州のジョアン・ドリア知事が、ジャイール・ボルソナロ・・・