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経済

大和証券「電力事業投資」で大損失

金融庁も注視する「簿外の爆弾」

2021年2月号

 突然の更迭騒動から半年、いよいよ大和証券グループ本社が抱える“爆弾”が燻り始めた。
「埼玉取締役の業務執行に関する調査委員会の設置を提案します」
 大和が五〇%出資する電気事業のインフラファンド、IDIインフラストラクチャーズ―。昨年八月十九日に開かれたその取締役会は騒然となった。同社の六人の取締役の一人で、大和常務執行役員の荒木秀輝が、ファンドを率いる社長・埼玉浩史を指弾する動議を発したからだ。
「どういうことだ……」
 訝る埼玉をよそに、荒木は埼玉のパワハラによる社員の退職強要、投資先との不適切な取引、不透明な経費使用を訴える内部通報があったと告げた。当事者である埼玉が議長を降り、交代したのは取締役の松井敏浩。荒木と同じ大和の代表執行役副社長である。
 松井が議決を諮ると、松井、荒木、さらに社外取締役の岩下正(ローソン銀行会長)、同じく加納望(ANAホールディングス社外監査役)の四人が賛成し、動議は可決された。外部の弁護士事務所による調査が始まったが、通報の真偽は解明されないまま・・・