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経済

《企業研究》アンジェス

大阪発「国産ワクチン」の夢は霧散へ

2021年2月号

 累計死者数が二百万人を超え、感染者数が一億人に迫るなど依然、世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス。昨年八月初旬時点での感染者数は二千万人強ほどだったが、わずか五カ月間でおよそ五倍に膨らんだことになる。欧米などに比べかなり流行が抑えられてきた日本も例外ではない。昨年末からの爆発的ともいえる感染拡大で感染者数は一気に三十六万人規模に増大。医療現場の逼迫なども重なり、死者数は今年一月下旬ついに五千人を突破した。
 こうした新型コロナウイルス禍の封じ込めに向けて「鍵を握る」といわれているのが予防ワクチンの普及だ。すでに接種の始まっている海外に対し、出遅れ感の目立つ日本だが、それでも自主開発の動きは「急ピッチで進んでいる」(製薬業界関係者)とされる。
 その先頭に立っているのが大阪大学発の創薬ベンチャー(VB)、アンジェスだ。昨年三月に阪大と共同でワクチン開発へ参入する意向を表明。同六月末には国内メーカーとして初めて臨床試験に乗り出した。
 すでに阪大・大阪市立大附属病院での第一/二相臨床試験を終え、同十一月には関東・関西地区の八施設で第二/三相試験入り。目標症・・・