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経済

電気料金「値上がり」は今後も続く

国民に痛苦を強いる経産省

2021年3月号

 東日本大震災後、我々の生活に生じた変化の一つが家庭の電気代だ。経済産業省は二〇一六年四月に電力全面自由化を開始。自由競争によって電気料金が安くなり、家計の負担が軽くなると経産省が大々的に喧伝したことから、マスメディアはそれを礼賛し、国民も大きな期待を抱くところとなった。しかし、残念ながら、電力全面自由化から五年がたとうとしている今も、電気代は下がっていない。むしろ、電気代は上昇を続けており、電力全面自由化当初よりも一〇%以上割高になっているのが実態だ。
 電力全面自由化が始まった一六年度以降、消費者は電気の契約先を自由に選べるようになった。現在は地域の電力会社に縛られることなく、さらにいえば、電力会社ではない企業から電気を買うこともできる。電力会社以外で電気を売る企業を「新電力」と呼ぶ。新電力は今や七百社超が登録され、シェアも二〇%近くに増えた。
 だが、肝心なのは、いかに競争が浸透しているか、ではない。経産省が電力全面自由化の大義名分として掲げていたのは「電気料金の低廉化」である。電気料金に関しては、多くの調査機関が統計を示しており、ある調査結果によれば、電力自・・・