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経済

伊藤忠と住友商事「トップとビリ」の共通点

両社が抱える「将来不安」

2021年3月号

 その鮮やかな“対照”の背後にあるものは何なのか―。
「責任を重く受け止めている」
 二月四日、住友商事が開いた第3四半期決算のオンライン会見に、兵頭誠之社長はこのひと言を発するために臨んだと言っていい。今年度業績は一千二百億円の最終赤字の見通し。従来予想より三百億円改善したものの、マダガスカルのニッケル事業、欧米の青果事業など三千億円に上る減損損失が響く。説明は塩見勝常務CFO(最高財務責任者)が行い、兵頭氏は一切口を挟まない。最後に語ったのが役員報酬の減額だった。
 全執行役員の六月の賞与はゼロ、さらに社長以下九人の経営会議幹部は四月から月額報酬を六カ月間減額する。兵頭氏の場合、四割カットという。中村邦晴会長も自主返納するが、ニッケル・青果とも中村氏が投資決定した事業であることに照らせば当然だろう。
 過去六年、大型減損が相次いだ住商の社長は四半期決算の会見を欠席しがちだった。が、「赤字なのになぜ社長が出てこないのか」とメディアに問われ、兵頭氏は今回、沈痛な表情を見せたのである。

一般炭を続けて「脱炭素」!?・・・