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経済

《地方金融の研究》琉球銀行

鹿児島からの「侵略」で窮地に

2021年3月号

 そのニュース速報に沖縄県経済界がにわかに色めき立ったのは今年一月二十九日のことだった。
「琉球銀行と沖縄銀行の両頭取が午後四時半から共同記者会見」。菅義偉政権の下、折しも地銀再編の機運が高まる中である。「すわ経営統合か」。関係者の間では一時こんな臆測も乱れ飛んだという。
 伏線もあった。昨年三月、両行はATMの相互開放を発表。同四月六日以降、午前八時から午後六時までそれぞれのATMでの現金の引き出し手数料を無料化(午後六時から同九時までは従来の二百二十円を半額の百十円に引き下げ)するといった施策に踏み切っていたからだ。
 だが結果は―包括業務提携。両行による連合体「沖縄経済活性化パートナーシップ」を結成。ATM提携にとどまらず、幅広く後方事務(バックヤード)の共同・共通化を図って業務効率化を推進。余った労力やコストを取引先支援の強化などを通じた域内経済の発展のために充てようというわけだ。
 提携の具体的な内容や手法は今後詰めるが、まずは現金輸送や手形交換業務などを共同化。ATMではそれぞれの通帳が使えるよう利用者利便の向上に資するサービス開発な・・・