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社会・文化

外資の土地取引規制は「骨抜き」に

「穴だらけ法案」に中国人の喝采

2021年3月号

「現在及び将来における国民のための限られた資源」
 国土利用計画法で「国土」はこう定義されている。しかしその限られた資源の利用は適切に管理されていない。特に近年増加している中国系企業などによる土地の取得について、実態も把握していなければ、規制もなかった。
 この状況を改めるため、昨秋以降、法案提出に向けた動きが本格化すると、保守界隈からは称賛の声が上がった。三月には内閣提出で外資による土地利用を調査し規制する法案が審議されることになったが、しかし内容は当初目指したものから大幅に後退した。
 昨年十一月に招集された新法制定のための有識者会議は、三回のスピード討議を終えるや、わずか二カ月足らずで「国土利用の実態把握等のための新たな法制度の在り方について」という提言書をまとめてしまった。
 これを基にして策定された法案では、規制される土地を「注視区域」と呼称し、防衛関係施設や重要インフラ施設の周辺、国境離島等とした。具体的には自衛隊拠点、米軍基地、原子力発電所、国際海底ケーブルの陸揚げ局、軍民両用空港の周辺等が該当する。
 当該区域内の不動産・・・