ジョー・バイデン米大統領の登場で、イランとイスラエルが軍事的緊張を一段と高めている。
　バイデン政権に対して、二〇一五年の「イラン核合意」への早急な復帰を望むイラン政府と、これを断固阻止したいイスラエル政府の思惑が衝突し、中東地域だけでなく、世界各地でも隠密戦が展開されている。
　イスラエルは今年三月に議会選を、イランは六月に大統領選を抱える。国内世論をにらんで、双方の軍事活動は先鋭化する一方だ。
　昨年には双方が互いの公共インフラや核施設にサイバー攻撃をしかけたばかりで、新たな軍事行動の懸念が強まっている。

地球規模で進む「謀略合戦」

　イラン対イスラエルの抗争は今年二月、意外な場所で表面化した。
　アフリカ大陸のエチオピアと、北欧スウェーデンである。両国の当局は、イラン人またはイラン系の計十六人を拘束したと発表した。エチオピア国内のアラブ首長国連邦（ＵＡＥ）の外交施設に攻撃を準備していたという容疑だった。
「標的はアジスアベバのＵＡＥ大使館だった。ＵＡＥ・・・